千葉でのご葬儀・お葬式なら葬儀社アスカ

葬儀の基礎知識

ホーム > 葬儀の基礎知識 > 死亡・葬儀に関する関連する法規

死亡・葬儀に関する関連する法規

死亡届

身内や同居人の方が死亡されたら、死亡診断書を添えて市町村役場の戸籍係に死亡届を提出します。「戸籍法」には、死亡届の届出義務者、届出期間などが規定されています。死亡届が受理されませんと埋火葬許可証が出ないので、葬儀を行うためには早く届出が必要です。

関連する法規
戸籍法

第86条[届出期間・届出事項・添付書類]

  1. 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3箇月以内)に、これをしなければならない。
  2. 届出には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
  3. やむを得ない事由によって診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届出に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。
    1)死亡の年月日時分及び場所
    2)その他命令で定める事項

第87条[届出義務者]

  1. 以下の者は、その順序に従って、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。
    第1.同居の親族
    第2.その他の同居者
    第3.家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
  2. 死亡の届出は、同居の親族以外の親族も、これをすることができる。

第88条[届出の場所]

  1. 死亡の届出は、死亡地でこれをすることができる。
  2. 死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で、汽車その他の交通機関の中で死亡があったときは死体をその交通機関から降ろした地で、航海日誌を備えない船舶の中で死亡があったときはその船舶が最初に入港した地で、死亡の届出をすることができる。

第89条[事変による死亡の報告]

水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があったときは、死亡者の本籍地の市長村長に死亡の報告をしなければならない。

本籍地以外への届出

死亡者の本籍地でない役場に出すときは、2通出してください。(役所が適当と認めたときは、1通で足りることもあります。)2通の場合でも、死亡診断書は、原本1通と写し1通でさしつかえありません。

海外での死亡、外国人の死亡

日本の国際化に伴い、日本人の海外での事故・病死が年々増大しています。また日本国内での外国人の死亡数も、東南アジアからの労働者、留学生などの増加により増え、平成11年度で5,670人となっています。こうした状況から、遺体や遺骨の本国返還するケースが増えることが予想されます。そこで海外での死亡、外国人の死亡の両方の法的手続きを取り上げてみました。

1. 日本への遺体空送

海外で死亡した日本人遺体を、本国へ返還する規則を取り上げました。以下の内容は、昭和32年4月、厚生省公衆衛生局長が外務省欧米局長に宛てた回答です。

遺体を日本へ空送する場合の取扱規定に関する件

<問>

  1. 死亡者が日本人でなければ埋葬許可が得られないか。若し、許可が得られるならば、いかなる場合に外国人の埋葬が許可されるか。
  2. 遺体を輸送する際は、アメリカ合衆国の各地方役所の発給した埋葬許可書、輪送許可書以外にいかなる書類が必要であるか。
  3. 遺体の納棺には、アメリカ合衆国で用いられている標準技術以外に特別の材料又は方法が必要であるか。
  4. ひつぎの構造に関する規定いかに、また、遺体の上をガラスのパネルで密封する必要ありや。
  5. 輸送用外箱に関する規定及び構造上の規格いかに、また、ハンダ付け金属板の内張りが必要であるか。
  6. 輸送の際の領事館検査の必要条件は何か。
  7. 荼毘(だび)に付した遺骨の輸送に関する必要条件は、荼毘(だび)に付さない遺体の輸送の場合と異るか、もしそうである場合は特に必要とする条件を列挙されたい。

<答>

昭和32年1月26日米合第317号をもって照会のあった標記の件のうち、当省関係事項である設問第1について、次のとおり関係法規(墓地、埋葬等に関する法律、墓地、埋葬等に関する法律施行規則)を添え、回答する。なお、設問第2以下は、墓地、埋葬等に関する法律事項以外のことであるから念のため申し添える。

記 埋葬許可は、死亡者の国籍の如何をとわず、本法施行地で死亡した場合、死亡地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)がこれを与えることとなっている。御照会のような事例については、現行法では特に規定が設けられていないので、法第7条の規定を準用して、原則的には遺体を空送する飛行機が最初に着陸した本法施行地の市町村長の許可を受けて埋葬するよう取り扱うことと致したい。

2. 日本からの遺体移送

日本国内で外国人が死亡した場合、はじめに死亡者の遺族に遺体処置(火葬・土葬)の方法を確認します。遺族が国外にいる場合には、領事館等を通じて確認します。

遺体を国外に移送する場合、遺体をエンバーミング(防腐処置)して送り届ける場合があります。日本ではエンバーミングをする病院等が限られており、火葬を薦めています。エンバーミングをする場合、それを行う病院を領事館で紹介してもらう必要があります。エンバーミング処置や飛行機での遺体移送は、料金が高額なため、料金支払済みの書類が必要な場合もあります。

遺体を移送するためには、当然遺体を受け入れる国の規定に従います。領事館(大使館)で、遺体移送手続きに必要な書類を提出し、エンバーミング、通関手続き等を行います。

基本的な手順

遺族に遺体処理方法を確認する。遺族が国外の場合には領事館、又は大使館を通して行います。

  1. 火葬して遺骨を移送する場合
・死亡診断書 2通
1通は死亡地の役所に提出し、埋火葬許可書を受け、1通は領事館に提出します。また火葬後の埋葬許可書と葬儀費用の明細を領事館に提出します。
  1. 遺体移送の場合
・死亡診断書 2通
うち1通を領事館、1通を遺体処理する病院に提出します。
・ 遺体処理証明書
エンバーミングを行った病院担当医の処理証明書を領事館に提出します。
・梱包証明書
梱包証明書は、棺のなかに遺体以外は入っていないことを述べた書類で、領事館員立会いの元に遺体の納棺梱包します。
  1. 航空機の手配
  2. 国別の取り扱い規定外国に遺体を移送する場合は、移送する国の最新の規則について領事館に相談する必要があります。
  • 死亡者氏名
  • 死亡原因(伝染病でないこと)
  • 送り主
  • 送り先
  • 送り先の国籍・住所・氏名
  • 梱包サイズ
  • 使用ドライアイス量
  • 移送内容と取り扱い葬儀社名
  • 遺族名
遺体移送は貨物扱いになります。航空貨物運送会社に手続きを代行してもらいます。

異状死の届出

人が死亡したとき、死亡の種類が病死などの内因死(自然死)と、事故死や殺人死などの外因死では、法律上の扱いが異なってきます。

  1. 異状死体の届出
    一般に医師の治療をうけている患者が、その病気で死亡すると、医師は「死亡診断書」を作成し遺族に交付します。そして遺族は死亡診断書とともに「死亡届」を役場に提出すると、埋火葬の許可がおり、死亡した人の戸籍が抹消されます。しかし医師が死因の不明の異状死体を検案した場合、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません。この場合、一般に以下の手続きが行われます。
  2. 「行政検視」と「司法検視」死因等の不明な異状死体の届出がありますと、警察官は「行政検視」を行います。そして犯罪と関連性やその疑いがある遺体は検察官に報告され、検察官または司法警察員による「司法検視」が行われます。
  3. 「行政解剖」と「司法解剖」法医解剖は「行政解剖」と「司法解剖」とに分けられます。行政解剖は、死体解剖保存法などにもとづいて監察医が行います。死因の明らかでない病死者(医師の診断をうけていない病死者など)、自殺者、災害死者、伝染病死者、食中毒死者など、犯罪に関係がない異状死体の死因を究明することを目的とします。司法解剖は、犯罪に関係ある遺体、またはその疑いのある遺体について、死因、死後経過時間などを究明します。
関係法規
死体解剖保存法

第2条[保健所長の許可]

  1. 死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。

第7条[遺族の承諾]

死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。但し、左の各号のlに該当する場合においては、この限りでない。

  1. 死亡確認後30日を経過しても、なおその死体について引取者のない場合
  2. 2人以上の医師(うち1人は歯科医師であってもよい。)が診療中であった患者が死亡した場合において、主治の医師を含む2人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要を認め、且つ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合(以下略)

第8条[監察医の検案・解剖]

  1. 政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができる。但し、変死体又は変死の疑がある死体については、刑事訴訟法第229条の規定による検視があった後でなければ、検案又は解剖させることができない。

第11条[犯罪に関係する異状の届出]

死体を解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、24時間以内に、解剖をした地の警察署長に届け出なければならない。

第20条[死体取扱上の注意]

死体の解剖を行い、又はその全部若しくは1部を保存する者は、死体の取扱に当っては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。食品衛生法

第28条[死体の解剖]

  1. 都道府県知事又は保健所を設置する市の市長は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に付することができる。
  2. 前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼす恐れがあると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。
軽犯罪法

第1条(罪)

第1条は34項目ですが、特に関連ある2項を以下にあげました。左の各号の1に該当する者は、これを拘留または科料に処する。

18項)自己の占有する場所内に、老幼、不具もしくは傷病のため扶助を必要とする者又は、人の死体もしくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者

19項)正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者

遺族年金

遺族保障には、国民年金には遺族基礎年金、厚生年金には遺族厚生年金があります。遺族基礎年金の場合は、子供(18歳未満)がいる場合、つまり母子家庭か孤児だけの場合にのみ遺族年金が支給されます。年金額は、母と子1人の場合、年額1,020,000円で、あとの子供の数に応じた加算があります。

遺族厚生年金を受給できるのは18才未満の子のある妻、18才未満の子供のない妻、55才以上の夫、父母、祖父母などです。

受給を受ける優先順位は配偶者、父母、孫、祖父母の順です。遺族厚生年金を受給する場合には、死亡した人の勤務先を受け持つ社会保険事務所に相談し、裁定請求を行って下さい。

関連する法規
遺族基礎年金

37条[支給要件]

遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の妻又は子に支給する。(中略)

  1. 被保険者が、死亡したとき。
  2. 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき。
  3. 老齢基礎年金の受給権者が、死亡したとき。
  4. 第26条ただし書に該当しないものが、死亡したとき。

第37条の2[遺族の範囲]

遺族基礎年金を受けることができる妻又は子は、被保険者又は被保険者であった者の妻又は子であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。

  1. 妻については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。
  2. 子については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

第38条[年金額]

遺族基礎年金の額は、79万2,100円とする。(平成21年度)

第39条[年金額]

妻に支給する遺族基礎年金の額

基本額は79万2,100円。これに子の数によって加算額がつき、子が2人までは一人につき年額22万7,900円、3人以上の場合には3人目から1人につき年額7万5,900円となっている。(平成21年度)

3項)妻に支給する遺族基礎年金については、第1項に規定する子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至った子の数に応じて、年金額を改定する。

  1. 死亡したとき。
  2. 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしたとき。
  3. 妻以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)となったとき。
  4. 離縁によって、死亡した被保倹者又は被保倹者であった者の子でなくなったとき。
  5. 妻と生活を同じくしなくなったとき。
  6. 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。
  7. 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。
  8. 20歳に達したとき。

子に支給する遺族基礎年金の額

79万2,100円を基本額とし、子が一人のときはその額、2人以上の場合は22万7,900円、3人以上のときは一人増すごとに7万5,900円を基本額に加算し、それを子供の数で割った額が支払われます。

第40条[失権]

  1. 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。
  • 死亡したとき。
  • 婚姻をしたとき。
  • 養子となったとき。

第41条[支袷停止]

  1. 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保倹者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。
  2. 子に対する遺族基礎年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有するとき、又は生計を同じくするその子の父もしくは母があるときは、その間、その支給を停止する。
遺族厚生年金

第58条[受給権者]

遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。

  1. 被保険者(失綜の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む)が、死亡したとき。
  2. 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
  3. 障害等級の1級又は2級に該当する廃疾の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

第59条[遺族]

  1. 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という)であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
  • 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。
  • 子又は孫については、18歳未満であるか、又は20歳未満で障害等級の1級もしくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
  1. 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。

第59条の2[死亡の推定]

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった際、現にその船舶に乗っていた被保険者もしくは被保険者であった者もしくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった被保険者もしくは被保険者であった者の生死が3月間わからない場合、又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する。

(以下略)

第60条[年金額]

遺族厚生年金の額は、第43条1項の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額とする。この場合において、第58条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎のとなる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。

第62条

遺族厚生年金の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は40歳に達した当時、当該被保険者もしくは被保険者であった者の子で、国民年金法第37条の3第1項に規定する要件に該当と生計を同じくしていたものが40歳以上65歳未満であるときは、第60条第1項第1号の遺族厚生年金の額に同法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額を加算する。

第63条[失権]

  1. 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。
  • 死亡したとき。
  • 婚姻をしたとき。
  • 直系血族及び直系婚族以外の者の養子となったとき。

埋葬料・葬祭費

社会保険や厚生年金に加入していると、葬式をなさった方(遺族)に埋葬料(葬祭費)が支給されます。

社会保険では在職中、あるいは退職後3箇月以内の死亡なら、埋葬料として5万円が支給されます。家族が亡くなった場合被保険者に支給される「家族埋葬料」は5万円です。国民健康保険の場合には、自治体によって埋葬料・葬祭料などの名称も変わり、支給額も3~7万円と異なっています。受給の為には申告しなければ頂けませんので注意しましょう。

関連する法規
健康保険法

第100条[埋葬料]

被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。

第113条[家族埋葬料]

被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第100条第1項の政令で定める金額を支給する。

第136条[埋葬料]

日雇特例被保険者が死亡した場合において、その死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上若しくは当該月の前6月間に通算して78日分以上の保険料がその者について納付されているとき、その死亡の際その者が療養の給付若しくは保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給を受けていたとき、又はその死亡が療養の給付若しくは保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給を受けなくなった日後3月以内であったときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、第100条第1項の政令で定める金額の埋葬料を支給する。

前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。

国民健康保険法

第58条[その他の給付]

  1. 保険者は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、助産費の支給若しくは助産の給付又は葬祭費の支給もしくは葬祭の給付を行なうものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は1部を行なわないことができる。

生命保険

「生命保険」に関する規定は、商法の673条以下(683条まで)にあります。

生命保険は「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」に分類できます。「死亡保険」は、被保険者が死亡したときや、高度障害になったときに保険金が支払われ る保険です。「生存保険」は、被保険者が一定期間生存したときだけ保険金が支払わ れる保険です。「生死混合保険」は、被保険者が途中で死亡すると保険金が支払われ る死亡保険と、保険期間満了時に生存していた場合には、満期保険金が支払われると いう生存保険を組み合わせた保険です。

なお死亡や事故の原因が故意によるものや犯罪による場合、契約直後の自殺などの場合には保険金が受け取れないことがあります(第680条)。

関連する法規
商法

第674条[他人の生命の保険]

  1. 他人の死亡によりて保険金額の支払を為すべきことを定むる保険契約には、その者の同意あることを要す。ただし被保険者が保険金額を受け取るべき者なるときは、この限りにあらず (説明)夫が妻に生命保険をかけ、受取人が夫の場合には妻の同意が必要。ただし、受取人が夫本人であれば、同意の必要はない。
  2. 前項の保険契約によりて生じたる権利の譲渡には被保険者の同意あることを要す
    (説明)受取人を変更する場合には、被保険者の同意が必要。

第676条[同前-保険金受取人の死亡と再指定]

  1. 保険金額を受け取るべき者が被保険者にあらざる第3者なる場合において、その者が死亡したるときは保険契約者は更に保険金額を受け取るべき者を指定することを得
  2. 保険契約者が前項に定めたる権利を行なわずして死亡したるときは、保険金額を受け取るべき者の相続人をもって保険金額を受け取るべき者とす

第679条[生命保険証券の記載事項]

生命保険証券には第649条第2項に掲げたる事項の外、以下の事項を記載することを要す

  1. 保険契約の種類
  2. 被保険者の氏名
  3. 保険金額を受け取るべき者を定めたるときはその者の氏名

第680条[保険者の法定免責事由]

以下の場合においては保険者は保険金額を支払う責に任ぜず

  1. 被保険者が自殺、決闘その他の犯罪又は死刑の執行によりて死亡したるとき
  2. 保険金額を受け取るべき者が故意にて被保険者を死に到らしたるとき。但しその者が保険金額の一部を受け取るべき場合においては、保険者はその残額を支払う責を免るることを得ず
  3. 保険契約者が故意にて被保険者を死に致したるとき

第681条[保険契約者の通知義務]

保険契約者又は保険金額を受け取るべき者が、被保険者の死亡したることを知りたるときは、遅滞なく保険者に対してその通知を発することを要す

第682条[積立金払戻義務]

被保険者の為に積立たる金額を払い戻す義務は、2年を経過したるときは時効によりて消滅す

労災補償

労働基準法は、労災を受けた労働者や遺族に対し、その生活を保障するために労災補償しなければならないと定めています。労災(業務災害・通勤災害)が発生した場合、それによる療養費、被災者や遺族の被扶養利益等の回復及びてん補を年金又は一時金の支給等の方法で行うため、労働基準署に対し、労災保険金の支払を請求し、支給される仕組みとなっています。

関連する法規
労働者災害補償保険法

第1条[目的]

労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、障害又は死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行ない、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

第2条の2[保険給付・労働福祉事業]

労働者災害補償保険は、第一条の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡に関して保険給付を行うほか、労働福祉事業を行うことができる。

第3条[適用事業]

この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。

第7条[保険給付]

この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

  1. 労働者の業務上の負傷、疾病、障害、又は死亡(以下「業務災害」という。) に関する保険給付
  2. 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。) に関する保険給付

第12条の7[届出等]

保険給付を受ける権利を有する者は、労働省令で定めるところにより、政府に対して、保険給付に関し必要な労働省令で定める事項を届出、又は保険給付に関し必要な労働省令で定める書類その他の物件を提出しなればならない。

業務災害に関する保険給付

第12条の8[保険給付の種類]

第7条第1項第1号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

  1. 療養補償給付
  2. 休業補償給付
  3. 障害補償給付
  4. 遺族補償給付
  5. 葬祭料
  6. 疾病補償年金

第16条[遺族補償給付]

遺族補償給付は、遺族補償年金又は遺族補償一時金とする。

第16条の2[遺族補償年金ー受給権者]

遺族補償年金を受けることが出来る遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。(以下略)

自動車事故による賠償

自動車の運転手は誰もが自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)又は、自動車損害賠償責任共済(自賠責共済)に入るわけことが義務づけられているわけですが、それを扱う法律が「自動車損害賠償保障法」です。この法律により加害者に対して損害賠償請求をすることが出来ますが、ひき逃げや無保険者などで加害者が不明の場合には、政府が被害者(遺族)に対して損害をてん補する「自動車損害賠償補償事業」があります。また任意の自動車保険(任意保険)とあいまって、被害者に対する救済に重要な役割を担っています。

関連する法規
自動車損害賠償保障法

第1条[この法律の目的]

この法律は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。

第3条[自動車損害賠償責任]

自己のために自動車の運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第3者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。

第5条[責任保険の契約の締結強制]

自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)の契約が締結がされているものでなければ、運行の用に供してはならない。

第15条[保険金の請求]

彼保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

第16条[保険会社に対する損害賠償額の請求]

  1. 第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

第17条[被害者に対する仮渡金]

  1. 保有者が、責任保険の契約に係わる自動車の運行によって他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を第16条第1項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。
  2. 保険会社は、第1項の仮渡金の金額が支払うべき損害賠償額をこえた場合には、そのこえた金額の返還を請求することができる。

第72条[自動車損害賠償保障事業]

  1. 政府は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第3条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第3条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第10条に規定する自動車の運行によって生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。
自動車損害賠償保障法施行令

第2条[保険金額]

 第13条第1項の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、次のとおりとする。

  1. 死亡した者
    1. 死亡による損害 (ロに掲げる損害を除く。)につき3千万円(平成4政259 改正)
    2. 死亡に至るまでの傷害による損害 (ロからヘまでに掲げる損害を除く。)につき120万円
  1. 傷害を受けた者

第5条[保険会社の仮渡金の金額]

法第17条第1項の仮渡金の金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、次のとおり

  1. 死亡した者 290万円
  2. 次の傷害を受けた者40万円
    1. 脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる 症状を有するもの
    2. 上腕又は前腕の骨折で合併症を有するもの
    3. 大腿又は下腿の骨折
    4. 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
    5. 14日以上病院に入院することを要する傷害

で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
(以下略)とする。

犯罪行為による被害者給付金

見知らぬ者から暴力行為を受けて死亡した。ひき逃げされ死亡したが犯人がわからない。こうした犯罪行為によって死亡した場合には、加害者から金銭的な補償を得ることは不可能に近いのではないでしょうか。そこで昭和55年に制定された「犯罪被害者等給付金支給法」という法律では、こうした被害者や遺族に対して、国家が一時金を支給するものです。

関連する法規
犯罪被害者等給付金支給法

第1条[主旨]

この法律は、人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死をとげた者の遺族又は重傷害を受けた者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給することについて規定するものとする。

第2条[定義]

この法律において「犯罪被害」とは、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行なわれた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為による死亡又は重傷害をいう。

第3条[犯罪被害者等給付金の支給]

国は、犯罪被害を受けた者があるときは、この法律の定めるところにより、被害者又は遺族に対し、犯罪被害者等給付金を支給する。

第4条[犯罪被害者等給付金の種類等]

犯罪被害者給付金は、一時金とし、その種類は、次のとおりとする。

  1. 遺族給付金
  2. 障害給付金

第5条[遺族の範囲及び順位]

  1. 遺族給付金の支給を受けることができる遺族は、被害者の死亡の時において、次の各号のいずれかに該当する者とする。
    1号)被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
    2号)被害者の収入によつて生計を維持していた被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
    3号)前号に該当しない被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
  1. 被害者の死亡の当時胎児であつた子が出生した場合においては、前項の規定の適用については、その子は、その母が被害者の死亡の当時被害者の収入によつて生計を維持していたときにあつては同項第二号の子と、その他のときにあつては同項第三号の子とみなす。(以下略)

第10条[裁定の申請]

  1. 犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請し、その裁定を受けなければならない。
  2. 前項の申請は、当該犯罪被害の発生を知った日から2年を経過したとき、又は当該犯罪被害が発生した日から7年を経過したときは、することができない。

葬祭扶助

「生活保護法」によって、国は生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行なうことになっています。保護の種類として、生活扶助や医療扶助の外、葬祭扶助も必要において行なうことになっています。この保護に該当する人は、扶養義務者又はその他の同居の親族の申請にもとづいて開始することになっていますが、保護を必要とする者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行なうことができるとされています。

関連する法規
生活保護法

第18条[葬祭扶助]

  1. 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行なわれる。
  • 検案
  • 死体の運搬
  • 火葬又は埋葬
  • 納骨その他葬祭のために必要なもの
  1. 以下に掲げる場合において、その葬祭を行なう者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行なうことができる。
  • 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行なう扶養義務者がないとき。
  • 死者に対しその葬祭を行なう扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行なうに必要な費用を満たすことができないとき。

第20条[指揮及び監督機関]

この法律の施行について、厚生大臣は都道府県知事及び市町村長を、都道府県知事は市町村長を、指揮監督する。2都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。

第21条[補助機関]

社会福祉事業法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。

第22条[民生委員の協力]

民生委員法に定める民生委員は、この法律の施行について、市長村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

第37条[葬祭扶助の方法]

  1. 葬祭扶助は、金銭給付によって行なうものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行なうことができる。
  2. 葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行なう者に対して交付するものとする。

第76条[遺留金品の処分]

  1. 第18条第2項の規定により葬祭扶助を行なう場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
  2. 都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。

遺言書の作成

遺言書がなかったために起こるトラブルが増大し、それに比例するように遺言書の作成件数もふえています。遺言による指定は法定相続よりも優先されるため、法定相続ではカバーできないことを、自分の意思として明示することができます。遺言書を書く必要のある場合とは、特に次の場合が考えられます。

  1. 自分の事業の後継者を指定したい
  2. 遺産を公益事業などに寄付したい
  3. 血族相続人が子供以外の場合
  4. 特定の子供により財産を多く与えたい
  5. 財産を与えたくない相続人がいる
  6. 先妻の子供と後妻の子がいる場合
  7. 内縁の妻や未認知の子供がいる
  8. 相続人が未成年者である

などがあげられます。いずれにしましても、素人が自己流に作成しますと、法的に無効になる場合がありますので、法律に従って作成しなければなりません。

関連する法規
民法

第961条[遺言適齢]

満15歳に達した者は、遺言をすることができる。

第964条[包括遺贈・特定遺贈]

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は1部を処分することができる。但し、慰留分に関する規定に違反することができない。

第967条[普通方式の種類]

遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

第968条[自筆証書遺言]

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
  2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。

第969条[公正証書遺言]

公正証書によって遺言をするには、以下の方式に従わなければならない。

  1. 証人2人以上の立会があること。
  2. 遺言者が遺言の主旨を公証人に口授すること。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印をおすこと。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることが出来る。
  5. 公証人が、その証書は前4号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

第970条[秘密証書遺言]

  1. 秘密証書によって遺言をするには、左の方式に従わなければならない。
  • 遺言者が、その証書に署名し、印をおすこと。
  • 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章を以てこれに封印すること。
  • 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
  • 公証人が、その証書を提出した日附及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し印をおすこと。
  1. 第968条第2項(自筆証書遺言の加除訂正)の規定は、秘密証書による遺言にこれを準用する。

第976条[死亡危急者の遺言]

  1. 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会を以て、その1人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合には、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印をおさなければならない。
  2. 前項の規定によってした遺言は、遺言の日から20日以内に、証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力がない。
  3. 家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

第1004条[遺言書の検認・開封]

  1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様である。
  2. 前項の規定は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会を以てしなければ、これを開封することができない。

第1005条[遺言書の検認懈怠・不法開封の制裁]

前条の規定によって遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処せられる。

第1022条[遺言書の取消の自由・取消の方式]

遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は1部を取消すことができる。

第1028条[遺留分権利者とその遺留分]

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。

  1. 直系尊属のみが相続人であるときは、被相 続人の財産の3分の1
  2. その他の場合には、被相続人の財産の2分の1

相続人と法定相続

相続人や相続の承認などの規定は「民法」がこれを扱い、相続税については「相続税法」で規定されています。民法の「相続」は6章あり、総則・相続人・相続の効力・相続の承認及び放棄・財産の分離・相続人の不存在がそれぞれの題目となっています。相続には、法律の規定に基づいて、相続人が知っているといないとにかかわらず効力を生じます。これを法定相続といいます。

関連する法規
民法第5編 相続・第1章 総則

第882条[相続開始原因]

相続は、死亡によつて開始する。

第883条[相続開始の場所]

相続は、被相続人の住所において開始する。

第884条[相続回復請求権]

相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知つた時から5年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様である。

第2章 相続人

第886条[胎児の相続能力]

  1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす

第889条[直系尊属・兄弟姉妹の相続権]

  1. 以下に掲げる者は、第887条の規定によって相続人となるべき者がない場合には、左の順位に従って相続人となる。
    第1)直系尊属。但し、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
    第2)兄弟姉妹

第890条[配偶者の相続権]

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、前3条の規定によって相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

第3章 相続の効力

第896条[相続の一般的効果]

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

第898条[共同相続(1)相続財産の共有]

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

第900条[法定相続分]

  1. 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
  2. 配偶者及び直系専属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
  3. 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
  4. 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

第906条[遺産分割の基準]

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年令、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

第907条[分割の実行]

  1. 共同相続人は、第908条の規定によって被相続人が遺言で禁じた場合を除く外、何時でも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
  2. 遺産の分割について、共同財産人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
  3. 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、分割を禁じることができる。

第915条[承認・放棄の期間]

  1. 相続人は、自己のために相続の開始を知った時から3ケ月以内に、単純もしくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人または検察官の要求によって、家庭裁判所において、これを伸張することができる。
  2. 相続人は、承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

第920条[単純承認の効果]

相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を継承する。

第922条[限定承認の効果]

相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して、承認することができる。

第923条[共同相続人の限定承認]

相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

第938条[放棄の方式]

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

第6章 相続人の不存在

第951条[相続財産法人]

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、これを法人とする。

第958条[相続人捜索の公告]

前条第一項の期間の満了後、なお、相続人のあることが明かでないときは、家庭裁判所は、管理人又は検察官の請求によつて、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は、6箇月を下ることができない。

第958条の3[特別縁故者への相続財産の分与]

  1. 前条の場合において相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、精算後残存すべき相続財産の全部又は1部を与えることができる。
  2. 前項の請求は、第958条の期間の満了後3ケ月以内に、これをしなければならない。

第959条[相続財産の国庫帰属]

前条の規定によって処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。

相続税の申告

相続税は財産所有者の死亡によって生ずる財産の転移に対して課せられる税金です。

納税義務者は相続または遺贈によって得た財産の総額から、被相続人の債務や葬式代、そして「非課税財産」(第12条)を引きます。

さらに相続税には基礎控除額というものがあり、平成6年1月1日より「5000万+法定相続人一人あたり1000万円」の範囲までは税金がかかりません。また、配偶者がいれば1億6000万円までは」税金がかかりません。

課税対象になるものは、土地、建物、預貯金・受益証券、有価証券、事業用財産、会員権、家財などがあります。申告期限は、平成8年1月1日以降は10カ月以内となっています。

関連する法規
相続税法

第1条[相続税の納税義務者]

次に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。

  1. 相続又は遺贈に因り財産を取得した個人で、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの。
  2. 相続又は遺贈に因り法律の施行地にある財産を取得した個人で、当該財産を取得した時において、この法律の施行地に住所を有しないもの。

第11条[相続税の課税]

相続税は、本節に定めるところにより、相続又は遺贈により、財産を取得した者の被相続人から、これらの事由により財産を取得したすべての者に係わる相続税の総額を計算し、当該総額を基礎としてそれぞれこれらの事由により、財産を取得した者に係わる相続税額として計算した金額により、課する。

第12条[相続税の非課税財産]

次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

  1. 皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物。
  2. 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの。
  3. 宗教、慈善、学術その他、公益を目的とする事業を行なう者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で、当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの。
  4. 条例の規定により、地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で、政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利。

第13条[債務控除]

相続又は遺贈により、財産を取得した者が、第1条第1号の規定に該当するものである場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から左に掲げるものの金額のうち、その者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

  1. 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの。
  2. 被相続人に係る葬式費用。

第15条[遺産に係る基礎控除]

  1. 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺増により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額から、5000万円と1000万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて得た金額との合計額を控除する。(平成6年度)
  2. 前項の相続人の数は、同項に規定する相続人の数とする。

第19条の2[配偶者に対する相続税額の軽減]

被相続人の配偶者が当該相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもってその納付すべき相続税額とし、第1号に掲げる金額が第2号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。

  1. イ.当該相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第900条の規定による当該配偶者の相続分を乗じて得た金額に相当する金額(当該金額が1億6千万円に満たない場合には、1億6千万円) (平成6年度)

第27条[相続税の申告書]

…相続税額があるときは、その相続の開始を知った日の翌日から10月以内に課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

※申告期限については税法改正により年度ごとに異なるので注意を要します。

第38条[延納]

  1. 税務署長は、…相続税額が10万円を超え、かつ、納税義務者について納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納付義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、5年以内(相続又は遺贈により取得した財産で当該相続税額の基礎となったものの価額の合計額のうちに不動産、立木その他政令で定める財産の価額の合計額が占める割合が10分の5以上であるときは、不動産等の価額に対応する相続税額として政令で定める部分の税額については15年以内とし、その他の部分の相続税額については10年以内とする。)の年賦延納を許可することができる。

第41条[物納]

  1. 税務署長は、納税義務者について…納税すべき相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、物納を許可することができる。
  2. 前項の規定による物納に充てることができる財産は、…以下に掲げるものとする。
  • 国債及び地方債
  • 不動産及び船舶
  • 社債及び株式、並びに証券投資信託又は貸付信託の受益証券
  • 動産

祭祀財産の承継

墓、祭壇、位牌などを民法では「祭祀財産」と呼んでいます。この祭祀財産は相続人の間で分割しますと、祖先の祭祀をするときに不都合を生じますので、相続財産とは別個に特定の1人に受け継がせることになっています。これを祭祀承継者といいます。祭祀財産を受け継ぐ人は、まず被相続人(故人)が、生前に指定していたのであれば問題ありません。次に被相続人による指定がなく、遺族の間での合意がない場合には、家庭裁判所の調停、もしくは審判によって決められることになっています。(民法897条2項)

関連する法規
民法第3章相続の効力・第1節総則

第896条[相続の一般的効力]

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

第897条[祭祀供用物の承継]

  1. 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。但し、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が、これを承継する。
  2. 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

葬式の保護と妨害

葬式は故人を宗教的・社会的に弔う大変重大な行事です。この行事が一部の不心得の者によって妨害されたりすると、葬儀全体の雰囲気が台無しとなり、また儀式進行そのものが阻害されることにもなりかねません。そこで法律では、葬儀を妨害したものに対し法律がそれを守ってくれています。

関連する法規

葬式等の妨害などを規制する法律・刑法第24章「礼拝所及び墳墓に関する罪」

第188条 [礼拝所不敬、説教妨害]

神祠、仏堂、墓所その他礼拝所に対し、公然不敬の行為ありたる者は、6月以下の懲役、もしくは禁錮又は10万円以下の罰金に処す(注:公然の行為とは、不特定又は多数人の覚知しうる状態のもとにおける行為をいい、その行為当時、不特定又は多数人がその場に居合わせたことは必要ではない。) 説教、礼拝又は葬式を妨害したる者は、1年以下の懲役もしくは禁錮又は10万円以下の罰金に処す。

葬儀の妨害

軽犯罪法第1条[罪]

以下の各号(全34項目)の1に該当する者は、これを拘留または科料に処する。

5項)公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者

13項)公共の場所において多数の人に対して著しく粗野もしくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催しもしくは割当物資の配給を待ち、もしくはこれらの乗物もしくは催しの切符を買い、もしくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、もしくはその列を乱した者

24項)公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者

26項)街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、もしくはこれをさせた者

28項)他人の進路に立ちふさがつて、もしくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

墓地埋葬法

「墓地、埋葬等に関する法律」はじめに墓地や埋葬の定義から述べられています。また最近話題になっています「散骨」に関しては、これまで「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。」(第4条)、あるいは刑法190条の遺骨遺棄罪にあたるとして禁じられていましたが、法務省は、「社会的習俗として宗教的感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で、節度をもって行われる限り問題はない」という見解を明らかにしました。

また納骨に関しては、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない」(13条)があります。特に問題になるのは、納骨を拒否された場合ではないでしょうか。行政実例として、老人ホーム附属の納骨堂について、老人ホームに収容されている者以外の者の利用を拒否することは「正当の理由」として判断されています。また寺院墓地に他宗派の遺骨の埋蔵を依頼されたとき、寺院側がこれを拒否して、裁判で争われ、判決では埋蔵には宗教儀礼が伴い、埋蔵に際して寺院側は自派の典礼を施行する権利を持っているので、その権利をさしとめる権限は依頼者にはないという判断が下されました。

関連する法規
墓地・埋葬等に関する法律

第1条[目的]

この法律は、墓地、納骨又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。

第2条[定義]

  1. この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠4箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
  2. この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
  3. この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、もしくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
  4. この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
  5. この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。
  6. この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。
  7. この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。

第3条[24時間内の埋葬・火葬の禁止]

埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。但し、妊娠7箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

第4条[墓地外の埋葬、火葬場外の火葬の禁止]

  1. 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。
  2. 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行ってはならない。

第5条[埋葬・火葬・改葬の許可]

  1. 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
  2. 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあっては死亡もしくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあっては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行うものとする。

第8条[許可証の交付]

市町村長が、第5条の規定により、埋葬、改葬又は火葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。

第9条[市町村長の埋葬・火葬の義務]

  1. 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならない。

第13条[管理者の応諾義務]

  1. 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。

第14条[許可証のない埋葬等の禁止]

  1. 墓地の管理者は、第8条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬または焼骨の埋蔵をさせてはならない。
  2. 納骨堂の管理者は、第8条の規定による埋葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。
  3. 火葬場の管理者は、第8条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行ってはならない。
墓地・埋葬等に関する法律施行規則

第1条墓地・埋葬等に関する法律

第5条第1項の規定により、市町村長の埋葬又は火葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第2項に規定する市町村長に提出しなければならない。

  1. 死亡者の本籍、住所、氏名(死産の場合は、父母の本籍、住所、氏名)
  2. 死亡者の性別(死産の場合は、死児の性別)
  3. 死亡者の出生年月日(死産の場合は、妊娠月数)
  4. 死因(法定伝染病、その他の別)
  5. 死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
  6. 死亡場所(死産の場合は、分べん場所)
  7. 埋葬又は火葬場所
  8. 申請者の住所、氏名及び死亡者との続柄

失踪宣告による死亡認定

実際に死亡しているかどうか確認出来ない場合に、死亡したものとみなす法律があります。例えば行方不明になったまま、生死不明の状態が何年も続いた場合、残された相続人は、財産の相続ができませんので相続税の申告も不可能となります。こんな場合には、民法の失踪宣告をすることによって、失踪者は死亡したものとしてそれ以後の手続きを可能としています。

関係する法規
失踪宣告

民法第30条[失踪宣告]

  1. 不在者の生死が7年間分明ならざるときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪の宣告を爲すことを得る。
  2. 戦地に臨みたる者、沈没したる船舶中に在りたる者、その他死亡の原因たるべき危難に遭遇したる者の生死が、戦争の止みたる後、船舶の沈没したる後、又はその他の危難の去りたる後1年間分明ならざるときは又同じ。

第31条[失踪宣告の効力]

前条第1項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は、前条第1項の期間満了の時に死亡したるものと見做し、前条第2項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は危難の去りたる時に死亡したるものと見做す。

第32条[失踪宣告の取消]

  1. 失踪者の生存すること又は前条に定めたる時と異なりたる時に死亡したることの証明あるときは、家庭裁判所は本人又は利害関係人の請求により失踪の宣告を取消すことを要す。但し失踪の宣告後、その取消前に善意をもって為したる行為はその効力を変せず。
  2. 失踪の宣告によりて財産を得たる者は、その取消によりて権利を失うも、現に利益を受くる限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。
失踪宣告の申し立て

申立先は、申立人の住んでいる土地を管轄する家庭裁判所です。申し立てがあると、家庭裁判所では、この者の生死を知る者は届け出よという公示催告の公示をします。公示催告は、裁判所の掲示板に掲示し、同時に官報に掲載されます。

生死を知っている者が申し出る期間は一般の失踪の場合は6カ月以上、特別失踪の場合は2カ月以上の期間を置きます。この期間が過ぎると、家庭裁判所では失踪宣告の公告をし、その旨を本籍地の市町村長に通知します。

臓器移植・献体

医科大学・歯科大学などでは、医学教育や研究のために多くの解剖用死体を必要としています。そこで国は、1983年に「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」を制定しています。献体をするには、書面で献体登録の申込みをします。申込みは、財団法人日本篤志献体協会に連絡すれば用紙を送ってもらえます。登録の申込み先は、医科大学(または大学医学部)、歯科大学(または大学歯学部)または、献体篤志団体などです。

法律では、本人の書面での申し出がある場合、必ずしも肉親の事前の同意を必要とはしませんが、献体登録の際に、肉親の同意の印をもらうのが普通となっています。また、実際には、本人が死亡したあと、家族の反対があれば、献体の実行はできなくなっています。従って登録するときには、家族の方の理解が必要となります。

献体と類似した制度に、アイバンクや、腎臓バンクなどがあります。いずれも献体とは違い、死後角膜や腎臓を他人に移植するというものです。

関連する法規
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律

第1条[目的]

この法律は、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的とする。

第2条[定義]

この法律において「献体の意思」とは、自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行なわれる身体の正常な構造を明らかにするための解剖(以下「正常解剖」という)の解剖体として提供することを希望することをいう。

第3条[献体の意思の尊重]

献体の意思は、尊重されなければならない。

第4条[献体に係る死体の解剖]

死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その死体の正常解剖を行なおうとする者は、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)第7条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しない。

  1. 当該正常解剖を行なおうとする者の属する医学又は歯学に関する大学(大学の学部を含む。)の長(以下「学校長」という)が、死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合
  2. 死亡した者に遺族がない場合

第5条[引取者による死体の引渡し]

死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、当該死亡した者に遺族がない場合においては、その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引き渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる。

第6条[記録の作成及び保存等]

  1. 学校長は、正常解剖の解剖体として死体を受領したときは、文部省令で定めるところにより、当該死体に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。
  2. 文部大臣は、学校長に対し、前項の死体に関し必要な報告を求めることができる。(指導及び助言)第7条文部大臣は、献体の意思を有する者が組織する団体に対し、その求めに応じ、その活動に関し指導又は助言をすることができる。

第8条[国民の理解を深めるための措置]

国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

角膜及び腎臓の移植に関する法律

第3条[眼球又は腎臓の摘出]

  1. 医師は、視力障害者の視力の回復を図る目的で行われる角膜移植術に使用されるための眼球を、死体から摘出することができる。
  2. 医師は、腎臓機能障皆者に腎臓機能を付与する目的で行われる腎臓移植術に使用されるための腎臓を、死体から摘出することができる。
  3. 医師は、第1項又は前項の規定による死体からの眼球又は腎臓の摘出をしようとするときは、あらかじめ、その遺族の書面による承諾を受けなければならない。ただし、死亡した者が生存中にその眼球又は腎臓の摘出について書面による承諾をしており、かつ、医師がその旨を遺族に告知し、遺族がその摘出を拒まないとき、又は遺族がないときは、この限りでない。

第4条[摘出してはならない場合]

医師は変死体又は変死の疑いのある死体から、眼球又は腎臓を摘出してはならない。

尊厳死と脳死

尊厳死

個人の立場を尊重する立場から、植物状態にある患者などの「死ぬ権利」を認め、自らの意志で人間の尊厳を保ちながら死を選択することを「尊厳死」と名付けています。「尊厳死」の条件として、患者が自らの意志を明確に表明できる段階で、その旨を証拠として残すことが前提となります。平成2年1月、日本医師会の「生命倫理懇談会」は、条件つきで「がん告知」を積極的に推進する立場を取り、さらに患者の自己決定権に基づく「尊厳死」を事実上容認するところまで踏み込んでいます。しかし平成3年、神奈川県の東海大学病院の「安楽死」事件などにもあるように、「安楽死」問題はまだまださまざまな問題を抱えているようです。またこの事件をきっかけにして、「尊厳死協会」(東京都文京区)に入会する人が増大し、平成4年現在4万人を突破したといいます。

なお尊厳死協会が推進している「リビング・ウイル」(延命医療を拒否する意志を事前に宣言する書類)では、

  1. 不治で死期が迫っていると診断されたときは延命措置を拒否する、
  2. ただし、麻薬など苦痛を和らげる処置は希望する、
  3. 数カ月以上にわたって植物状態に陥ったときは一切の生維持措置をやめてほしい、 の3点です。従来、死の判定は、 心臓が停止する、 呼吸が停止する、 瞳孔が開く、

の3点でしたが、脳死は、無酸素や障害により、脳が永久に機能を失った状態(不可逆的機能消失)を指します。

1985年(昭和60)12月、厚生省の「脳死に関する研究班」は次の基準を「脳死の判定」としました。

  1. 深い昏睡(こんすい)、
  2. 自発的呼吸の消失、
  3. 瞳孔(どうこう)が固定し、瞳孔径は左右とも4ミリ以上、
  4. 脳幹反射の消失、
  5. 平たん脳波、
  6. 以上の条件が満たされた後、6時間経過をみて変化がないことを確認する、

の6点です。

厚生省脳死判定基準(いわゆる竹内基準)は「前提条件」、「除外例」および「判定基準(判定のための諸検査)」で構成されています。

脳死診断を行う患者の前提条件
  1. 器質的に脳が障害されている
  2. 深昏睡・無呼吸である
  3. 脳障害の原因が確実に診断されている
  4. 適切な治療をもってしても回復不能である、

の4点です。

除外例

以下の患者に対しては、脳死の診断をしてはならないことになっています。

  1. 6歳未満の小児
  2. 薬物中毒、32℃以下の低体温、代謝・内分泌障害

などの症例では、脳死と非常に紛らわしい状態になることもあるため、脳死の診断から除外する。

臓器移植法

人間の臓器移植の中で、腎臓と目の角膜についてはすでに法律で移植が認められていました。そのため臓器移植法については、以前から医療関係者を中心に成立が望まれており、1994年4月に14名ほどの議員から国会に提出されていました。そして1997年6月17日に、「臓器移植時の場合のみ脳死を人の死とする」という臓器移植法案が国会で可決、成立しました。9月5日には、10月16日の法施行前に厚生省の運用指針案「臓器移植法の運用に関するガイドライン」が承認されました。

その骨子は、

一、臓器提供の意思表示は15歳以上。
一、臓器提供を承諾する遺族の範囲は配偶者と子、父母、孫、祖父母の直系二親等以内の親族および同居の親族とし、喪主が総意をまとめるのが適当
一、臓器提供の最初の数例は大学病院と日本救急医学会の指導医指定施設に限る。
一、臓器提供に伴う脳死判定の手続きなどの説明は臓器移植ネットワークのコーディネーターが行う。
一、死亡時刻は2回目の脳死判定終了時とする。
一、脳死移植は移植関係学会合同委員会が選定した施設に限定する。
一、検視が必要な脳死者は捜査機関の手続きが終わった後でなければ臓器を摘出してはならない。

とあります。

ご相談窓口

お急ぎの方、各種ご相談は
こちらからご連絡下さい。

お電話でのご相談はこちら

お急ぎの方へ

千葉県
最多のネットワーク

千葉県最多の46式場を展開

お客様の最寄りのアスカとして地域に根ざしております。